食の専門家にも聞いた。ラーメンFCの開業について食の専門家にも聞いた。
人気店になると毎日行列が絶えないラーメン屋。ラーメン好きの中にはラーメン店を開業して独立したいと考える方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、ラーメン業界の競争は激化し、開業し数年で閉店してしまうお店もあります。さらに、物価高の高騰で飲食店の経営経験がない方にはハードルが高いと感じるかもしれません。しかし、そのような難しい状況でも、フランチャイズに加盟して開業するという方法があります。
ラーメンチェーンの推移
この記事では、ラーメン店のフランチャイズ加盟を検討している方に向けて、ラーメン店のフランチャイズのメリット・デメリットを解説します。また、フランチャイズの選び方で失敗しないために、外食界のトレンド、現場のリアルを、食品・外食サポートのマーケティングセバスチャン(株)の久積さんにお話をうかがいました。ラーメン屋の開業を検討する際は、ぜひ参考にしてください。
1)ラーメン業界の現状、ラーメン屋はそもそも儲かるのか?
ラーメンとん太担当:井上「フランチャイズオーナーさんが、しっかり経営者として向き合えば、うまく行くと思います」
ラーメンとん太担当:井上「ここ数年コロナ禍で外食市場は大きな打撃を受けていました。思うように業績を伸ばすことができないお店もありましたが、生き残るお店もあります。生き残るお店は、デリバリーや新メニューの開発など、『ラーメン屋として何ができるか?』を考えているように思います」
久積「うまく行っているラーメン屋さんは、新メニューの開発やユーザーが興味を持ちそうなアクションを起こしているように感じますよね。とん太さんはどのようなサポートをオーナーさんにしていますか?」
ラーメンとん太担当:井上「とん太では、オーナーさんが何か新しいチャレンジをしたいと相談があった時に、新メニューのアイディア共有など、できる範囲のことで協力をするようにしています」
久積「国民食でもあるラーメンは、今や10人に1人フォーカスをするような多様性のあるメニューが求められていますよね。例えば、痩せたい女性の中にはラーメンを食べたいという方もいます。そのような方でもお店に足を運ぶよう春雨風のラーメンを出したりするお店もありますよね。もちろん通常のラーメンに比べて価格もそれなりになってしまいますが、100円多く払っても体には良いし罪悪感がないと感じて足を運ぶ人もいそうですよね」
2) ラーメン屋FCの仕組み
ラーメンとん太担当:井上「私たちのとん太で説明をすると、私たちがこれまでに培ったレシピ、接客、店舗レイアウトなどノウハウをオーナーさんに提供することで、開業支援をします。オーナーさんはFC加盟することで加盟金はかかってしまうが、開業支援とその後の販促のアドバイスをさせていただくので、1から開業する方法よりも低コストでの開業ができます。
さらに、ラーメン屋を経営したことのないオーナーさんでもしっかり集客できるよう、販売促進で何が必要かのアドバイスもしていますよ」
久積「FC店によって、レギュレーションが異なりますが、ネームバリューとノウハウは強みですよね。オーナーさんがラーメン屋の知識が浅くても、これまで培ってきたノウハウと集客でカバーできますからね。しかも、フランチャイズの多くはセンターキッチンを経由して必要な食材を調達できるので、仕込みの手間を省くことができます。もちろん、費用面はかかるし、お店のメニューとして出せるものは限られますが、ゼロからスタートするよりもハードルは低いと思います」
ラーメンとん太担当:井上「一般的にフランチャイズといえば、売上金の一部からロイヤリティを払わなければならず、それで頭を悩ませるオーナーさんも多くいますよね。私たちの場合はロイヤリティをオーナーさんからいただくのではなく、食材を私たちから購入してもらうという形で契約をしています。ロイヤリティの縛りがないため、売上げ分はオーナーさんのもののため、モチベーションアップにもつながっているのかなと感じています」
久積「アレンジの自由度はどれくらいありますか?」
ラーメンとん太担当:井上「ベースのものはすでに完成しているので、それをベースにプラスアルファで何ができるかをオーナーさんが考えていただくことになります。トッピングなどの組み合わせで、他のとん太には無いメニューを作ることも可能なため、フランチャイズの中でも比較的自由度は高いのではないかと思います」
3) 成功しているFC
ラーメンとん太担当:井上「ラーメンで成功しているFCは、町田商店さん、二郎さん、郊外の店舗であればラーメンショップさんが成功しているのではないかと思います。成功しているFCは、どこに行っても同じ味が楽しめる、SNSでの発信を積極的におこない認知度も高くなっているのではないかなと感じますね」
久積「ラーメンのFCで私が驚いたお店は、風風ラーメンですね。ラーメン屋といえば、ラーメンがメインですが、このお店では、鉄板焼きナポリタンや日替わり定食などがあり、ラーメン以外でも勝負をしています」
ラーメンとん太担当:井上「町中華みたいな試みですね。ラーメン以外のメニューの味が心配ですが…」
久積「もちろんラーメン以外のメニューにも力を入れていますよ。ラーメン製麺技術を活かした鉄板ナポリタンといった感じで、ラーメンをベースにはしていますがお客様が満足するような味は提供しているかなと思います」
久積「大事なことは地域密着型のお店であるということですね。ラーメン以外のメニューを提供することで、お父さんはラーメン、子どもはナポリタンといった楽しみ方もできますし、常連客の人であれば、『昨日はラーメンを食べたから今日は鉄板ナポリタンにしよう』と味を変えることもできます。町中華、ファミレス感覚でお店のスタイルを変えている点が面白いなと感じました」
これからのFC店に求められること
ラーメンとん太担当:井上「長く営業できる地域密着型のお店が、これからのFC店には求められるかなと思います。とん太の中でも、売上を順調に伸ばしているお店は開業歴が長いお店で、地域に根ざすことで、地元の人々が足繁く通い、結果的に業績を伸ばすことができるのではないかなと思います。」
久積「長く続けることも重要ですが、味が変わらないことが大切だと思います。もちろん、時代に合わせてお店のレイアウトや決済方法など、「側」は変えていく必要はありますが、ベースとなるものは変えずに同じものを続けることが重要かなと私も思います。その点では変わらない味を提供し続けるFCは有利ですよね」
ラーメンとん太担当:井上「オーナーさん目線で考えると、どのFCに加盟するかも慎重に選ぶことも重要かと思います。いくら結果を出しているお店でもFC店との相性が悪ければ絶対にうまくいかないと思います。FCの仕組みを理解することも重要ですが、相性も意識して選ぶと良いかもしれません」
久積「システマティックにやるFCもあれば、人間力で対応するFCもありますよね。とん太さんはどちらのタイプですか?」
ラーメンとん太担当:井上「そうですね…。私たちの場合はオーナーさん目線で寄り添いながらサポートするタイプなので、情熱的な人におすすめかもしれません(笑)」
久積「FCは、どこまでオーナーさんと協力関係を構築することができるかも重要だと思います。あまり縛りを強くしすぎると、オーナーさんが楽しいと感じられないかもしれません。このバランスをいかに適度にするかが、これからのFCに求められるのではないでしょうか」
1)まとめ
フランチャイズを開業するために何が必要なのか、ラーメンとん太担当:井上さん、久積さんの対談で学ことができたのではないでしょうか。最後に、FCオーナーとして成功するために何が必要なのかお二方にお聞きしてみました。
ラーメンとん太担当:井上「地元の人に愛されるお店として成長できることが重要だと思います。常連客の多くは、地元のお客様なので、その人たちの心をつかむことが長く続けるための秘訣では無いかと思います。そのために、喜ばれるためには何をすべきかを考えることが成功への第一歩かなと思います」
久積「気持ちも大切ですが、戦略をしっかり練ることも重要かもしれません。例えば加盟したいFCの加盟店で、10年以上営業しているお店はどの程度あるのか、自由度はどの程度かといったことをあらかじめリサーチして、自分らしい経営ができるFCを見つけることも重要ではないかなと思います」
ラーメンFCのまとめ
- ラーメン業界は今後も市場規模が大きい
- ローコストで始めるのであれば、FCがおすすめ
- 地元から愛されるお店づくりを目指す
- 儲かるかだけではなく、自分と相性の合うお店を選ぶ